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皆さんこんにちは!
合同会社日高牧場の更新担当の中西です。
~飼育肥料~
“飼料(えさ)”と“肥料(たいひ・化成)”は別物に見えて、実は土→飼料作物→牛→堆肥→土という循環でつながっています。本稿では、肥育・繁殖どちらにも通じる飼料設計と施肥・堆肥化の要点を、現場で使える目線でコンパクトにまとめます。
目次
粗飼料を土台に:乾草・サイレージ・稲わら。反芻(はんすう)機能と健康の“要”。
濃厚飼料で目的補正:とうもろこし(エネルギー)、大麦(でんぷんの分解がやや緩やか)、大豆粕・菜種粕(たんぱく)。
バランス指標の目安
育成期:繊維(NDF)しっかり・たんぱく適正で骨格づくり
仕上げ期:エネルギー密度↑、ただし有効繊維を残してアシドーシス回避
TMR(完全混合飼料):粗・濃・ミネラルを均一化し、食いムラを防ぐ。
品質の肝:サイレージは乾物率・pH・嫌気性管理、カビ毒は吸着材や原料選定で予防。
ワンポイント:仕上げ期にデンプンを上げる時は緩衝剤(炭酸塩)や長い切断長の粗飼料を組み合わせ、反芻時間を確保。
自給粗飼料:イタリアンライグラス、ソルガム、牧草地の更新サイクルを明確化。
副産物の賢い活用:ビール粕・酒粕・糖蜜・ふすま・豆腐粕など、単価/栄養価/保存性で評価。
ミネラル・ビタミン:Ca/P比、Mg、Cu、Zn、Seなどを地域土壌の偏りに合わせて補正。
水:常時清潔で十分量。水摂取=採食量に直結。
アシドーシス対策:給餌回数を分ける、粒度を整える、急な配合変更を避ける。
蹄・関節:床面の乾燥・滑り防止、ミネラルバランス。
暑熱対策:日陰・送風・散水、夏場は可消化繊維中心に配合見直し。
添加の工夫:イースト製剤やビタミンEなど反芻・酸化ストレス対策に有効な場面も。
土壌診断→施肥処方:N-P-Kに加え、pH・Ca・Mg、必要に応じ微量要素を補う。
堆肥の主役化:牛ふん尿はC/N比・含水率を整えて発酵。切り返し・通気で悪臭と窒素損失を抑制。
化成肥料との合わせ技:堆肥で土の物理性(団粒・保水)、化成で即効性を担う二本立て。
散布のタイミング:播種前の基肥、刈取り後の追肥、雨前の散布は流亡に注意。緩衝帯や水路対策を。
ワンポイント:堆肥は“肥料”であり“土壌改良材”。量より質(温度履歴・熟成度・含水率)で評価すると草地が長持ち。
固液分離:固形は堆肥化、液は貯留→希釈→時期を選んで圃場へ。
被覆・屋根:雨水混入を減らし、N流出と臭気を抑える。
地域連携:近隣の水田・畑作と堆肥の受け入れ協定を結ぶと、処理と販売の両面で安定。
メタン低減の方向性:消化性の良い粗飼料、急な高デンプン化を避ける、適切な脂質の“微量添加”。
N2O・アンモニア対策:堆肥の好気発酵化、散布設計、草地の被覆作物(カバークロップ)活用。
データ管理:給餌量・日増体・歩留まり・土壌データを記録し、飼料コスト/kg増体で意思決定。
春:草地更新・播種/基肥→初刈りサイレージ仕込み
夏:暑熱対策・水分管理/追肥(草勢見ながら)
秋:2番・3番草の収穫/堆肥熟成の最終調整
冬:土壌診断→翌年施肥計画、サイレージ在庫点検・配合見直し
□ サイレージの乾物率・pH・臭いをロットごとに確認
□ 給餌残(リフィード)と糞の状態で消化・繊維量を日次評価
□ 堆肥の温度カーブと含水率を帳票化
□ 土壌分析は少なくとも年1回、圃場区画で記録更新
□ 飼料コスト/日増体、枝肉歩留まりの推移を四半期で振り返り
飼料は牛の健康と肉質を作り、肥料はその飼料を生む土を作ります。
「飼う」と「施す」を一体で設計し、データで回すことが、品質安定とコスト低減、そして環境対応を同時に進める最短ルートです。まずは土壌診断→堆肥品質の見直し→TMRの微調整の三点から、循環の質を一段引き上げていきましょう。